2018/04/20

季節と色のこと



          (クリックすると拡大します)

前回の新緑のきもののつぎに織り始めた着尺は、何を思ってか...濃い茶色..茶色…
..いろんな茶色です。
晩秋に霜が降り始め、ぬくもりが欲しくなる頃に柔らかく身を包むきもの。経糸には玉糸が多く入っていてほこほことした表情です。
そんなきものを作るつもりで、たくさんの茶色の糸を集めました。

準備を整え、機にかけ、織り始めました。
ところがどうも、はかどりません。
窓の外はまばゆい陽光。萌え始めた庭の木々。
どことなく気分が乗りません、次に織り込む緯糸の杼を選ぶときにも。

そうなんです!
やっぱり、色は大切なんです。
色は季節で、季節は色なんです!ね。

前にもお話ししたように、それを着たい時期かもしくはそんな時期の前に制作する方が私には良いようです。

そこで、ありがたいことに、私にはもう一つの織機がとなりに控えていますので、一気に準備をしていま気分の帯を織り始めました。



まさに萌えいずる春、そして初夏。
みたいな彩りのヘリンボーンの八寸帯です。
これらの緑色は藍とエンジュで染めた緑ですが、紬糸ではなく本絹糸を撚った糸なので発色がとても鮮やかです。
ここまで彩度の強い帯ですが、少し地味目な単衣きものに合わせてみたら、新鮮かもしれません。

やはり気分もウキウキ、二本の足をリズムよくステップを踏むように踏み替えて織っています。

つくづく、色は大切!と感じ入りました。
どうしましょう…茶色の着尺。昨秋は丹波布みたいな色の着尺を織っていて楽しかったのですが、そんなに先延ばしも出来ません。
なたね梅雨で雨が降り続くようになったら、そちらの織機に座ることにしましょう。