ほんの一世紀くらい前まで、人々は身近に糸をとり、布を織り、染め、縫い、洗い、手入れをして丁寧に扱ってきました。それが今では布そのものをそれほどまで大切に扱うことは日常的ではなくなりました。しかし一方では、天然繊維である絹や麻、木綿などを身につけたときの心地よさ、手織りの布やゆったりとつむがれた紬のもつ不揃いだったり、完璧すぎない質感に魅かれる人も多いようです。私もその一人。 世界中の人が大好きで、長い間大切にされてきた絹に魅せられています。織りの工程は地味で細かな作業の積み重ねです。「一糸乱れず」という言葉通り何千分の一本が乱れても良い布は織れません。我慢の作業が続いたあと、やっと機に経糸(たていと)が整い織り始めるときは、自分の身体で空を飛ぶように至福の時です。そうして織り上がった布は、きものや帯などに仕立てた後の残り裂れ、それで小物をつくった後のさらに小さな端裂れまでいとおしくなります。
2009/06/12
2009/06/09
コーディネートのこと
私のおすすめは「織りの着物+織りの帯」「無地・縞・格子の着物+無地・縞・格子の帯」です。一昔前の“きまりごと”とはちがいますが、この方が断然お洒落で現代風です。帯揚げ、帯締め、草履を含めた色の組み合わせも、反対色などより同系色や色相の近い色など、引き算の考え方で、控えめに組み合わせてみると全体にとてもすっきりとした着こなしに見えます。また、都会のシーン、洋服の中に入っても目立ち過ぎないように思います。そして、草木染・手織紬には布そのものが上質な力をもっているので、それをいかすだけで充分なのです。また、季節感も色、柄ではなく、糸づかいや、織り方のちがいによる質感、小物の色で表現するのも楽しみです。
取材を受けました。
ある企業(家庭をもつ女性の味方です)がPR誌の巻頭特集で私を紹介してくださることになり、取材と撮影に来てくださいました。作品や仕事部屋の様子、制作プロセス、そして自作の着物を着て庭に佇む私. . .。女性にとって自分の写真というのはビミョーですね。どうか「実物程度」には写っていますように、願わくば「実物以上」になんて!多分この誌面をご覧になるのは若い方よりそこそこ(私くらい)の年令のかた、余裕のある生活をしておられるかた、ほとんど女性。と言うことは、私の作品にも興味をもって下さりそうなかたも多いのでは!少しでも出会いがあればいいなぁ. . .なんて夢見る私です。クライアントの担当者、ディレクター、ライター、カメラマンの方々と、和やかにスムーズに無事終了しました。7月中旬発行ですが、その企業の契約者用に配布されるので、どこかでご覧いただける方は幸運です!
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