2013/05/05

帯いろいろ

このところ、いつもとちょっと変わった帯を試作してきました。

帯として紬きものと合わせるとこんなふうになるかな、というイメージをご紹介してみます。

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ヘリンボーンの帯のこと




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なんと、初めての「組織織り」です!

組織織りというのは、隣同士の糸が上下する繰り返しの「平織り」と違って、経糸の綜絖の通し方も踏み木の踏み方も変化した織り方で、決まった法則で織っていくと柄が浮かんできます。

ずぅ〜と平織りでしたし、苦手意識もありました。
(私の学校では平織りしか学びませんでした)
でも、ちょっと心動かされ、綾織りの一種の『ヘリンボーン』の帯を作ってみました。

「組織織り巧者」の方から見れば超簡単!なのでしょうが、
初めてのことを一人で挑戦するのは四苦八苦です。織り始めるまでは何度もミスが。。。
でも一転、調子良く織れるようになると楽しい!
単色なのに柄がある。平織りの部分と同じなのに全然表情が違う。
紬糸の太細があるので、機械的にならずツイードみたいな味が出たと思います。

「組織織り」を深めるつもりはないのですが、このシンプルでシックな『ヘリンボーン』の感じは『いいなぁ。。。』と思っています。

光る帯のこと






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まさか! とお思いの方もいらっしゃるでしょうか。
前回の素朴な『丹波布写』とは対極ですね。

「ひかりもの」が好きでない私。
洋服もアクセサリーも靴も草履もバッグも車も着物も帯も。

紬、紬と毎回繰り返しているのに、まさか、金糸銀糸の帯?!

めったにフォーマルなんてない私ですが、息子の結婚式に「紬の訪問着」を着るにあたって、さすがにいつもの紬帯では。。。と考えました。
で、「紬のきものに合う、ちょっとフォーマルな袋帯」を作ってみよう!と思いまして。
(実は、それには間に合いませんでした。)

まだまだ試作中です。
ずっと前に糸屋さんから金糸銀糸を貰いましたが、使うこともなく戸棚に眠っていました。
時間は人を変えることもあるのですね。
たまたま、金糸と紬糸を合わせて使った織物に出会い、
「いや〜なかなかいい感じ」これも何かのご縁かと。
やってみよう!と。

『世の中にあまりない光る袋帯』を作ってみよう!と。
パーティーやお祝いの場や、ちょっと改まった場にも『紬のきもの』をお召しいただきたいから。

初めは絹糸の経糸に金糸と紬糸を緯糸として織りました。
色もグレーで網代柄だったので、シックで個性的な布になりました。

二度目は金銀糸と絹糸を経糸にしました。
経縞と横段が入った縞と、けっこう光ります。底から光ります。
(なぜか、「佐賀錦」を思い起こさせます)
どんな帯になるのでしょうか。袋帯にしてみようと思っています。

お好みでない方や必要のない方には申し訳ありません。
今年はちょっと、いろいろ楽しんでみようと考えているのです。

また追ってご紹介したいと思います。

2013/05/04

丹波布のこと





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織物好き、紬好きの方で「丹波布」が好きな方も多いのでは?
江戸から明治にかけて丹波地方で作られて、京都や大阪でお布団として使われたそうです。

茶綿の色や植物で染めた茶系の色と藍で染めた青系の色、そして木綿の白。
それらがさまざまな縞や格子に織られるだけで魅力的な布になるのには、糸の持つ力もあるでしょう。木綿糸だけでなく絹の紬糸が使われることもあったそうです。

普段使いのものの中から美を見出した柳宗悦や上村六郎にその魅力を評価され、骨董好きの人たちに好まれ続けた素朴な織物です。

私の学生の頃でも、骨董好きの若い先生に教えられて「天神さん」(京都の北野天神の縁日の市のことで、私の生家はすぐ近くです)の古着屋さんを廻ると藍色系のぼろぼろの「布団のがわ」が安く買えました。
あまりに汚れているので、家で洗うのは気がひけて学校の実習室の染料が染み付いた洗濯機を使わせてもらいました。
そして穴があいたり薄くなったところは裏から無地の部分を継ぎ当てて、いく幅もつなげて大きな大きな風呂敷を作りました。
これは何を包むかというと。。。その頃は大きなタピストリーを作っていましたので、巻いて細長い筒状になった作品を運ぶときに包んでいました。

色柄や状態の良い「古丹波布」は新門前の古布屋さんでは小さくてもすごいお値段で、希少な布のようです。
また一方、今では丹波地方で復元をされ、たくさんの作家や織り手の方に伝承されて、現代の丹波布が作られているようです。

私は何年か前に駒場の日本民芸館で「大津絵の掛け軸」の表装に使われている丹波布を見て、改めてその魅力にはまりました。
売店で買った「丹波布」号の冊子を何度も眺め、袋物の本に出てくる丹波布の写真を集め、憧れていました。
いつかこんな味わいの布を自分なりに織ってみたいなぁ!と思っていました。

数年前、桜で染めたベージュと藍で染めたブルーが糸棚のなかで隣り合っているのを見て、イメージを追いながらざっくりとしたストールを織ってみました。
するとやはり「丹波布好き」のかたがたが気に入ってくださいました。

そして、いよいよこの春、自分なりに(復元ではなく)、糸使いや織る密度や布の質感などを考えて、『丹波布写(うつし)の帯』を作ってみました。(リスペクトと言うのでしょうか)
糸は経、緯とも絹の紬糸。桜と藍で染めた色です。
とりあえずは八寸のものと九寸の二点。
まだまだ試行錯誤中ですが、これからも合間を見つけて織ってみたいと思っています。
こんな布のお座布団も欲しいですね!