2012/12/22

慶事のこと





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今年も残り僅かになってまいりました。

さて、ふだんこのブログでは制作や作品のことについてお伝えすることがほとんどで、私の生活をお伝えすることはあまりないのですが。。。どうかご容赦を!

この12月の初め、我が家に慶事がありました。
京都の吉田神社にて長男が結婚式を挙げました。
寒い日でしたが神々しい本殿で身の引き締まるお式を行なっていただきました。

今の結婚式では概ね新郎新婦の母親は留袖をお召しになることが多いかと思います。
けれども、私と夫はできれば自作のきものを着たいと思っておりました。
幸い披露宴も双方の家族と親しい親戚だけの和やかなものですので、本来は正装とは言えないのですが、私作の紬の訪問着を、夫も私作の紬の着物、羽織袴を着ることになりました。

私の着物は以前にあるコンクールに出品して賞をいただいた思い出の作品でして、いつか自分用にと思っていました。
さまざまな植物で染めた茶系の色を使い、裾が濃く胸元が淡くなっています。
これには「縫い紋」とか「飾り紋」と言われる刺繍を背中に一つ入れてもらいました。
とても有名な「長艸工房」で私のトレードマークである『雪輪紋』をお願いしました。
刺繍の糸も私が草木染めをした糸を使ってくださいました。
帯は写真にはないのですがやはりベージュと金色のシンプルな袋帯です。

夫の着物と帯、羽織はずいぶん前に作ったものですが、袴を新調したことでとてもイメージが変わることにびっくりしました。

またその上に、新婦さんは私が友人のお嬢さんに作らせていただいた「『紬の振り袖』を披露宴で着たい」と熱望してくれましたのでお借りしました。


私たちとしてはこれが『いちばんの盛装』かな。。。と!
さすがに照れくさいの着ている写真はご勘弁を

それではみなさま良いお年をお迎え下さい。





2012/10/24

制作のこと


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秋も深まってきました。
今年は個展や展示会がなく、ずっと気ままなペースで制作をしてきました。
そのせいかこのブログの更新も進まず、申し訳なく思っております。

ご注文いただいているものを順に制作していますが、やはり秋になってから「きもの」が近くに感じられるようになりました。
私自身もきものを着る機会が増えてきたり、
ストールなどを見にお客さまも来てくださるようになり、
秋だなぁ。。。と。

ここ数年で「桜きもの」を何点か制作してきました。
今年の春から織ったきものです。
これまでの中ではいちばん経縞を強くしました。
全体をみると匂立つほど咲きほこる遠景の桜景色を眺めているようです。

今もまた、「桜きもの」を織っています。

ときどき、ストールや帯を織り、
またこのごろは縁あってお預かりしたちょっと変わった織機で裂織りをしてバッグを作ったりもしています。
(これらは作品としてではなく、私用で使っています。
 写真をご紹介したものかどうか。。。)

2012/08/03

暑中お見舞い申し上げます



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暑い日が続いています。
みなさん、お元気ですか。


真夏には少し爽やかな気分のものを織りたくて、細い細い生糸を緯糸にして薄くて軽くて透けたストールを織りました。
庭に出て青空とギラギラ太陽に透かせてみました。


少し夏もいいなぁ....という感じ。


涼風が吹く頃、うんと『きもののこと』を考えたいです。

2012/07/16

袋物のこと



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和の袋物の中で、茶道で個人が使うもの(扇子、袱紗、古帛紗、懐紙、楊枝など)を入れるものには数寄屋袋、懐紙入れ、袱紗ばさみなどと呼ぶ物があります。

それなりにたくさんの物が売られているのですが、なかなか気に入ったものに出会えないので自分用に作ったのが始まりで、ずいぶんたくさん作ってきました。
このような袋物を作るのは専門の職人さんがいらっしゃり、意外なほど縫わずに糊で貼る加工です。縫い目がなく芯がしっかりとしている分ぱりっとした仕上がりが良いです。

たまたま、この春にはオリジナルな袋物のご注文が続きました。
それぞれのお好みに合う裂地を選んで、使いやすい型に仕上げてもらいました。
ちょっと贅沢ですけど....。

2012/04/11

バッグのこと  2

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きものに限らず、必需品のバッグ。
私はあまり和装ぽいのは持たず、洋服と兼用が多いです。
「きものまわり」、「お茶まわり」の小物類と同じように私の裂地でバッグを時々作ります。
お客様のご要望でサイズやデザインを決めることもあり、また縫製してくださる方のデザインで作ることもあります。
基本的にはできるだけシンプルに裂地の持ち味を生かして、品のよいものを。。。もちろん一つだけのオリジナルで。
今回出来上がったのは、
一つは、青磁色の着尺の紬地に同色の帯の紬地をプラスした縦長のシンプルな手提げバッグ。持ち手は絹の真田紐です。
これは楽譜を入れるサブバッグとしてお誂えしました。
もう一つは、以前自分用にざっくりとした紬でスーツを作りました。(シルクツイードという感じでしょうか。たまに洋服地も織ります)
その裂地で小ぶりのバッグを作りました。これは裏に絹の小紋地を使いキルティングをしてあります。
軽くて持ちやすく、きもの、洋服どちらにも使えそうです。

2012/03/20

桃の樹のこと 3

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一昨年の秋(2010.10月)にこのブログに書いていた「桃の樹のこと 1.2」を覚えてくださっているでしょうか。
友人のご実家の想いのこもった桃の樹を伐らなければいけなくなり、糸に染め織物にすることで想い出を形のあるものにして残そうと、枝や幹を送ってもらいました。
思っている以上に綺麗な桃の実のような薄桃色が染まりました。
戸棚の中で一年あまりゆっくりと眠っていました。
その友人から昨秋、「来年のお雛祭の頃に、信州の旧家のお雛さまのイベントに着ていきたいなぁ....!」とリクエストがあり、ちょうど春が待ち遠しい新年から制作していました。
旧暦のお節句にお出かけになるので、なんとか間に合わせることができました。
出会えた色が素直に生かせるように、桃の樹からの数色と白だけですっきりとした細い縦縞にしました。
帯は練り色地に六色の間道。春らしくうきうきするような帯になりました。

2012/02/08

信玄袋のこと

少しづつですが、男性のきもの姿も増えてきたように思います。
私の周りでは、もともとのお洒落が高じてくるのと、伝統的な事柄に興味を持たれることが重なって、ありきたりではない着物やきもの周りの小物に関心を持たれるようです。
女性にくらべて小物のアイテムは多くありませんが、その分お洒落なものがなかなか見つからないそうです。
今回、お二方の信玄袋をお誂えいたしました。
デザインはいろいろ迷った結果、シンプルなまち付きの信玄袋になりました。
着尺用の裂地を使い、たて縞のは革のまち、焦げ茶色の無地のは共裂のまち。
大きさは標準の大きさと、一回り大きめです。
ふつうは丸紐が通っているのですが、大好きな真田紐に変えてみたらすごく素敵になりました。

2012/01/26

羽織のこと 4

寒い日が続いています。
今年一番に仕上がった羽織です。
グレー、ベージュ、オフホワイトで細かな変わり縞です。
どちらかと言うとシックでシンプルなお好みの方ですので、羽裏地もいつもの縫い絞りの淡い草木染めではなく、モダンなプリント感覚の柄と色を合わせました。
羽織紐の引き締め色の焦げ茶色です。

2012/01/04

お正月のこと

新年明けましておめでとうございます。 
今年もどうぞ宜しくお願いいたします。
お正月の三ヶ日を過ごし、これから寒さはますます厳しくなってきますが、少しずつ日が長くなってくるためか、春を待つ気分になります。
お正月を迎えるための準備も年々簡単にしてしまうようになってきていますが、新年を迎えるときに、ささやかなものでも新しいもの、春を感じるものを身につけるのはやっぱりうきうきとするように思います。
きもの姿の仕上げは帯揚げと帯締め。
昨秋、直接にはお目にかかっていない方が、このブログをご覧になって「桜染め」のオリジナルの帯締めと帯揚げのお誂えをご注文くださいました。いつものように、すっかり時間がかかってしまい、なんとか年末にお届けすることができました。
お送りする前に、並べてみたら、忙しさに追われる私自身が、なんだかホォ〜っと微笑んでしまうくらい癒されました。これが「自然からいただく色の力」なのでしょうか。