2016/12/26

カラフルマフラーのこと









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FMラジオから流れるクリスマスソングを聴きながら、ウキウキと織ったカラフルなマフラーたち。
2015年2月にご紹介していた、頂き物の化学染料で鮮やかに染まった糸でこじんまりとしたマフラーをたくさん織りました。
幅が20センチほどなので軽くてくるりんと巻くのに最適です。

普段はほとんど平織りなのですが、試しに綾織のマフラーを作ってみたら柔らかくて厚みができてマフラーには良いなぁ...と思っていたので、杉綾織にしました。
同じ生成りの経糸ながら、鮮やかな緯糸で柄が浮かんできて織るのが楽しくて。
糸の質が良いので、本当に柔らかで優しい肌触りです。

でも、原色の段染め糸や鮮やかな色糸たち。
昭和の高度成長期にはこんな色を使った帯が多かったんですねぇ…..。

いつも自然の植物から思いの色を染めるのに夢中になっている部分が、すごく気分転換できてリフレッシュします。
組織織りもこのくらいの密度の織り方なら大変さより楽しさが味わえます。

縞マフラーのこと



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冬が来て年末になってくると、首元を温めるものが欲しくなります。
私はいつものようにその季節に欲しい気持ちで作るのが好きです。

と言うわけで、初めは男性へのプレゼントに作ったマフラーです。
暗い季節に冬色の洋服が少し生き生きとするようにシマシマです。
半分の幅に折るとちょっと違った色が出ますので、ぐるぐる巻くと面白く洒落ています。
柔らかな真綿紬糸なので、薄めながら暖かです。

2016/12/24

男のきもののこと 3


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今年もあと僅かになりました。
今秋は男ものを制作していました。
羽織は無地でしたが、きものはさまざまなグレーのたて縞にグレーの濃淡の横段が入り近くで見ると小格子、離れて見ると暈繝ぼかしのようです。
羽織ときもの姿なら、ちょっと洒落た感じ。
でも、袴をつけるとまた違った印象になります。

すべてが仕立て上がるのは来春に。楽しみです。

2016/11/09

角帯のこと



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「男のきもの」の帯として私が作るのは角帯です。

女性の帯と同じくらいの長さですが幅はうんと狭く三分の一以下の10センチほど。
その幅でひとえに織られた帯もありますが、私は倍の幅で織り半分の幅にかがって仕上げます。
なのでこんなふうに経糸の色を変えておくと、リバーシブルになります。
女性の帯のお太鼓結びのように形が複雑ではないので、両面が使えます。

グレーっぽい茶色と赤みの茶色です。
着流しではわりと目立ちますが、袴をはくと少し見えるだけです。

2016/11/06

無地紬のこと




  

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私が無地を織るときは、経糸に少しだけ濃淡をつけたり、色味を僅かにかえることが多いのですが。

いま織っているのは全くの無地です。
それでも、経糸に使っている座繰り糸の微かな太細と緯糸の真綿紬糸の節が交差するところは微妙に十字が表れます。

やはり無地を織っているときは、柄を織るときとはリズムが違います。

無心に近づくと言うのか….。
格子柄や横段柄を織るときには緯糸の杼をかえるタイミングを常に考えているし、経て縞柄でもずっと縞のようすが気になっているし。

もちろんどちらかと言えば、とても気持ちが良くて空を飛んでいるような気がします。


本当は無地こそ織りむらなどがないように神経をはっていなければいけないのでしょう。


この無地紬は 男物の羽織になります。

やっと織り上がりました。織り止めのあと経糸をはさみで切りました。
無事に織り終えることができ、毎回ながら何かに感謝する心持ちになります。

太くなった千巻からざっと目を通しながら長い長い反物を外していきます。
ほっと嬉しく、愛しいひと時です。

2016/03/11

春もののこと



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三月に入り寒さが残る日もありますが、日差しはすっかり春のものです。
紬が大好きなわたしでも、この季節になると少し気分が変わります。
この頃はずいぶん早めに単衣を着始めますが、それでも五月になってから。
それまでの期間に軽やかで爽やかな織物が良いなぁ...とおもい作ってみました。

緯糸に玉糸だけを織り込んだ「玉紬」とよんでいます。
真綿紬糸を織り込んだ「真綿紬」に比べて、薄手で少し光沢がありますが、玉糸の節や太細で表面には表情があります。

これまでは主に単衣仕立ての着物や羽織にしてきましたが、袷仕立てににするのも三月や四月に良いのでは…と思っています。

今回は白地にさまざまな色を経糸や緯糸に使った小格子です。
「弥生格子」と申しましょうか、芽吹きを感じる爽やかさを求めてみました。


この五,六年はご注文を頂いてからの制作が中心でした。
皆さんにご覧いただく展示会もできていなくて。
もう少しオリジナル作品が増えれば、ご覧いただく機会をもてたら良いなぁ…と思っています。

2016/01/12

今年もよろしくお願いします

新しい年が始まりました。
これからも精進していきたいと思っております。
どうぞ宜しくお願いいたします。

ある住宅メーカーの情報誌の迎春号「豊かさを紡ぐひと」と言う特集に掲載していただきました。
私の染織制作への思いや、制作の様子などを紹介してくださっています。
限られた紙面の中に、草木染めや紬織りのことを説明したり、私のこれまでの過程や思いなどを語るのは簡単なことではありません。
ただし、ライターさんが的確にポイントを絞ってくださるので思いがけず自分を振り返るよい機会を与えてもらうことになりました。

私も還暦をすぎ、時々はあとどのくらい仕事を続けられるんだろう…
などと考えることもあります。
でも考えてみてもしようがないことなんですよね。心が向かう方へ!

それで、取材に来られる前に私が生まれてからこれまでの事を、十年ごとくらいに書き出しました。文章にすると言うのは記憶や印象を整理できるんですね。
自分にとっての優先順位がはっきりしてくると言うか。
これは、かなり興味深いことでした。年を重ねてこその面白さでしょうか。
もちろん今回の取材では、私が染織作品を発表するようになる前後くらいからのおはなしです。

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