2017/05/15

新緑のこと






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薫る風に樹々の若葉が揺れ、新緑が目を楽しませてくれる季節です。

明るい日差しがあふれて鮮やかな緑がそこここに見えながら、遠くの山の緑は春霞のせいか白く淡い萌黄色に、揺れる葉は銀色がかった裏葉色に見え陰影を醸し、えもいわれぬ緑の諧調を現します。


身近な草も明るい緑色を与えてくれます。
昨春にカラスノエンドウで生き生きとした緑色の諧調を染めました。そして、春を迎える明るい気分の紬を織りました。

そう今日は葵祭です。京都の緑が輝く日ですね。

2017/04/11

慶事のこと 2



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春らしくなってきました。我が家の桜もようやく咲き始めました

(久しぶりに私事ですが、ご勘弁ください。)

四年前に続き我が家の慶事のお話を。
この三月、次男が京都の岡崎神社で結婚式を挙げました。

かねてより次男はきものに興味を持っていて「いつか自分にも作ってほしい!」とよく私に言っていましたが、なかなか取りかかる余裕がありませんでした。

けれども昨年、本人たちが結婚式のプランをたてるときに「自分もお嫁さんも母さんの創ったきものを着たい!」と言い出しまして、いよいよ取りかかった次第です。

お嫁さんはずっと前に初めてお誂えで作らせてもらった「弥生格子の振り袖」をお借りして挙式に、お色直しには40年前に私が初めて織った「紅花の無地」を着ることに。







次男の「グレーいろいろの無地」着物と「桜の茶色」の羽織が織り上がる頃、長男夫婦も「できれば着たい!」と。
それなら「ここまできたら、家族全員着よう!」と言うことになり、私も欲が出てしまいました。


長男のお嫁さんは「桜の無地」を。そして長男にはこういうこともあろうか...と広幅で織っていた「山蕗の無地」の着物と「矢車附子の無地」の羽織でもう一揃い。
なんとか滑り込み、間に合いました。



主人の分は前回揃えていたので、これでみんなの着るものが整いました。
袴と花嫁さんの帯二点だけは自作ではありませんが、男の帯もがんばりました。



「桜の無地」と私の「蒲公英の絵羽」に合わせたのは、2013/5/5の「光る帯のこと」や「帯いろいろ」でご紹介した帯たちがけっこうフォーマル感を出してくれました。

貰った金銀糸がもったいなくて、ふと「世の中にあんまりない光る袋帯」を作ってみよう!と試してみたのですが役に立ちました。

この六人分の着物や帯などに合わせる小物などの準備もけっこう大変でした。
おんなものは私のもが使えますが、おとこものは世の中に本当に数が少なくて、とても高価か怖いくらい安物か…。普通にシンプルで素敵なものを見つけるのは至難の業です。

けれども挙式当日、みんなが着てくれた姿は…
とてもとても嬉しく、素敵でした。




きっと結婚式には異例の「紬づくし」ですが、我が家の「最高の晴れ着」となりました。


「ものを作る仕事」をして来たこと、素晴らしく幸せに思いました。

そして、家族が育ち、家族が増えていくこと、幸せに思いました。

2016/12/26

カラフルマフラーのこと









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FMラジオから流れるクリスマスソングを聴きながら、ウキウキと織ったカラフルなマフラーたち。
2015年2月にご紹介していた、頂き物の化学染料で鮮やかに染まった糸でこじんまりとしたマフラーをたくさん織りました。
幅が20センチほどなので軽くてくるりんと巻くのに最適です。

普段はほとんど平織りなのですが、試しに綾織のマフラーを作ってみたら柔らかくて厚みができてマフラーには良いなぁ...と思っていたので、杉綾織にしました。
同じ生成りの経糸ながら、鮮やかな緯糸で柄が浮かんできて織るのが楽しくて。
糸の質が良いので、本当に柔らかで優しい肌触りです。

でも、原色の段染め糸や鮮やかな色糸たち。
昭和の高度成長期にはこんな色を使った帯が多かったんですねぇ…..。

いつも自然の植物から思いの色を染めるのに夢中になっている部分が、すごく気分転換できてリフレッシュします。
組織織りもこのくらいの密度の織り方なら大変さより楽しさが味わえます。

縞マフラーのこと



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冬が来て年末になってくると、首元を温めるものが欲しくなります。
私はいつものようにその季節に欲しい気持ちで作るのが好きです。

と言うわけで、初めは男性へのプレゼントに作ったマフラーです。
暗い季節に冬色の洋服が少し生き生きとするようにシマシマです。
半分の幅に折るとちょっと違った色が出ますので、ぐるぐる巻くと面白く洒落ています。
柔らかな真綿紬糸なので、薄めながら暖かです。

2016/12/24

男のきもののこと 3


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今年もあと僅かになりました。
今秋は男ものを制作していました。
羽織は無地でしたが、きものはさまざまなグレーのたて縞にグレーの濃淡の横段が入り近くで見ると小格子、離れて見ると暈繝ぼかしのようです。
羽織ときもの姿なら、ちょっと洒落た感じ。
でも、袴をつけるとまた違った印象になります。

すべてが仕立て上がるのは来春に。楽しみです。

2016/11/09

角帯のこと



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「男のきもの」の帯として私が作るのは角帯です。

女性の帯と同じくらいの長さですが幅はうんと狭く三分の一以下の10センチほど。
その幅でひとえに織られた帯もありますが、私は倍の幅で織り半分の幅にかがって仕上げます。
なのでこんなふうに経糸の色を変えておくと、リバーシブルになります。
女性の帯のお太鼓結びのように形が複雑ではないので、両面が使えます。

グレーっぽい茶色と赤みの茶色です。
着流しではわりと目立ちますが、袴をはくと少し見えるだけです。

2016/11/06

無地紬のこと




  

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私が無地を織るときは、経糸に少しだけ濃淡をつけたり、色味を僅かにかえることが多いのですが。

いま織っているのは全くの無地です。
それでも、経糸に使っている座繰り糸の微かな太細と緯糸の真綿紬糸の節が交差するところは微妙に十字が表れます。

やはり無地を織っているときは、柄を織るときとはリズムが違います。

無心に近づくと言うのか….。
格子柄や横段柄を織るときには緯糸の杼をかえるタイミングを常に考えているし、経て縞柄でもずっと縞のようすが気になっているし。

もちろんどちらかと言えば、とても気持ちが良くて空を飛んでいるような気がします。


本当は無地こそ織りむらなどがないように神経をはっていなければいけないのでしょう。


この無地紬は 男物の羽織になります。

やっと織り上がりました。織り止めのあと経糸をはさみで切りました。
無事に織り終えることができ、毎回ながら何かに感謝する心持ちになります。

太くなった千巻からざっと目を通しながら長い長い反物を外していきます。
ほっと嬉しく、愛しいひと時です。

2016/03/11

春もののこと



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三月に入り寒さが残る日もありますが、日差しはすっかり春のものです。
紬が大好きなわたしでも、この季節になると少し気分が変わります。
この頃はずいぶん早めに単衣を着始めますが、それでも五月になってから。
それまでの期間に軽やかで爽やかな織物が良いなぁ...とおもい作ってみました。

緯糸に玉糸だけを織り込んだ「玉紬」とよんでいます。
真綿紬糸を織り込んだ「真綿紬」に比べて、薄手で少し光沢がありますが、玉糸の節や太細で表面には表情があります。

これまでは主に単衣仕立ての着物や羽織にしてきましたが、袷仕立てににするのも三月や四月に良いのでは…と思っています。

今回は白地にさまざまな色を経糸や緯糸に使った小格子です。
「弥生格子」と申しましょうか、芽吹きを感じる爽やかさを求めてみました。


この五,六年はご注文を頂いてからの制作が中心でした。
皆さんにご覧いただく展示会もできていなくて。
もう少しオリジナル作品が増えれば、ご覧いただく機会をもてたら良いなぁ…と思っています。

2016/01/12

今年もよろしくお願いします

新しい年が始まりました。
これからも精進していきたいと思っております。
どうぞ宜しくお願いいたします。

ある住宅メーカーの情報誌の迎春号「豊かさを紡ぐひと」と言う特集に掲載していただきました。
私の染織制作への思いや、制作の様子などを紹介してくださっています。
限られた紙面の中に、草木染めや紬織りのことを説明したり、私のこれまでの過程や思いなどを語るのは簡単なことではありません。
ただし、ライターさんが的確にポイントを絞ってくださるので思いがけず自分を振り返るよい機会を与えてもらうことになりました。

私も還暦をすぎ、時々はあとどのくらい仕事を続けられるんだろう…
などと考えることもあります。
でも考えてみてもしようがないことなんですよね。心が向かう方へ!

それで、取材に来られる前に私が生まれてからこれまでの事を、十年ごとくらいに書き出しました。文章にすると言うのは記憶や印象を整理できるんですね。
自分にとっての優先順位がはっきりしてくると言うか。
これは、かなり興味深いことでした。年を重ねてこその面白さでしょうか。
もちろん今回の取材では、私が染織作品を発表するようになる前後くらいからのおはなしです。

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2015/11/22

感激の再始動 羽織のこと



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一年あまり受注を休んでいて、この春頃から満を持して受注制作を再開しよう!と思いました。
ところがよく考えてみると。。。お店があるわけでもなく、私の方から「また始めましたので、どうぞ!」と発信する術もなく。。。

”まぁ、いいかぁ。初心に返って、自分用のとかを作って勘を取り戻そう!

作ってみたかったものもあるし。そのうち良い風も吹いてくるかもしれないし...” 
なんてのんびり考えて手を動かしていました。

すると、あるお客さまから「(以前お作りした)単衣の羽織を着てお出かけして、とても好評でしたよ!」と嬉しいご報告がありました。
そしてなんと、「『再開第一号』は私のを作ってください。」と仰ってくださいました。

ものすごく嬉しかったです。

うまく言葉にできませんが、本当に感激しました...。

実のところ、この方は本当の意味で「いちばん最初のお客さま(『開始第一号』)」でした。

全く知らない方が、偶然に私の作品をご覧になり、探し当てて連絡をくださったのです。
それは私にとって『奇跡的』な事でした。
まさに、『夢が叶った瞬間』でした。
以来、ずっといろんなやりとりの中からたくさんの事を学ばせていただき、さまざまな作品を作らせていただきました。
私の受注制作がそれなりに軌道にのり、ご注文くださった方々にずいぶんお待ちいただくようになった時も。
そして、今回また私を勇気づけてくださいました。


私はいまあらためて、ご依頼いただける事の喜びを感じています。


今まで私に制作をご依頼くださり、長時間お待ちいただいた、すべてのお客さまお一人お一人を思い浮かべながら、心から感謝しております。
機会があれば、またどうぞよろしくお願いいたします。

そして、何となく気にはなるけれど、敷居が高いわ..。とか。連絡しにくいわ..。
などとお考えの方。
どうぞ、ご遠慮なくお問い合わせください。


お待ちしております。

ーーちょっといつもになく、私の内側の話になってしまいました。お許しを。ーー



で、話は戻って。

一度目は真綿紬の無地で、袷の羽織。
二度目は玉紬の細かい縞で、単衣の羽織。
今回は玉紬の細かい縞で、袷の羽織のご注文です。

たくさんきものをお持ちの方ですから、具体的に合わせたいきもの類を知らせてくださり、それに合う色味や柄や質感を決めていきました。


羽織ブームとはいえ、シックな羽織をお召しになる方はそれほど多くないようですが、秋から冬、春先にとても素敵なコーディネートを楽しめます。

前にも羽織の項目でお話ししましたが、着心地を含めて、羽織用に織ります。
今回はご所望により、羽裏地は私が縫い絞りで「雪模様」を染めました。
羽織紐はいつもの房なしのシンプルな紐を濃茶色にしてひきしめました。

2015/11/18

畝織り(うねおり)帯のこと





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このところ、時間に追われているときにはやってみたくても出来ない織り方を試しています。

これらは、八寸帯です。
全くの平織りなのにこんなふうに多色の市松格子の柄が織れるのです。

数年前、とてもきちんとした技術をお持ちの染織作家のかたの講習会で、この「畝織り」と言うのを知りました。
もちろん講習会と言っても実技を習えるわけではなく、作品を例に原理をレクチャーしてくださるだけですから、実際に自分でいちから「機こしらえ」をして織ってみないと分からないものなんです。
ずっとやってみたくてウズウズしていたのですが、お待ちいただいているご注文の事を考えると、新しいことはなかなかできなくて..。
やっと挑戦できました。

これはうんと大きな市松格子ですが、「三崩し」や「ヤシラミー」などの柄と同じ原理です。
そして八寸帯なので、ある程度の厚みと強さが必要ですから、糸の太さの組み合わせも重要です。
何となく金糸も混ぜたので、ちょっと私らしくない帯なになったかもしれませんが、
とても軽くてこの独特の畝が帯としてずれにくく、質感がしっかりとしていてとても良いんじゃないかしら...と思います。
柄を小さくしたり、配色の強弱を近づけたりで、うんと展開出来そうです。
もっとシンプルな色づかいで、市松だけではない格子柄も織ってみたと思っています。

ただ、機から降ろすとすごく丈が縮んでしまいました。やはり畝ができるぶん、経糸がくわれるのでしょう。
超スリムな人向け?...いやいや、私がんばって締めます。
やはり、初めての技法には問題点がいっぱい。
だから面白い。試作は大事です。
でも大好きな市松格子が織れ、格子のバリエーションが増えてすごく嬉しいです。