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今日から十月、秋から初冬にかけては大好きな季節です。
とにかく蒸し暑い日の多かった今夏に制作していた作品を後回しにして、いま織っている着尺のお話です。
なぜだか分からないのですが、秋になると丹波の田園風景が心に浮かびます。
枯れ始めた樹々、稲刈りの終わった田んぼ、枯草を焼く煙がたなびくブルーとオレンジが混ざる夕焼け空、それを囲む低い山々の深緑。
そして心魅かれるのは暖かみを感じさせる「真綿紬」のきもの。
久しぶりに経糸も紬糸、緯糸も紬糸で織る「諸紬(もろつむぎ)」の着尺を織ってみたくなりました。
素朴で民芸っぽいきものを。
いつもの座繰り糸より少し太い紬糸にしっかり糊を付けて、荒めの筬(経糸の密度が少し低くなります)で織ります。
緯糸は変わらないのに経糸の節も表れてきます。
基本の色をずいぶん前に染めていたので、「丹波布」を思い起こす格子柄に。
ただ試し織りをするうち、同じ繰り返しの格子より気まま緯糸の方が良いような気がしてランダムな地色の格子になりました。
とっても秋の気分です。