2016/11/06

無地紬のこと




  

            (クリックすると拡大します)


私が無地を織るときは、経糸に少しだけ濃淡をつけたり、色味を僅かにかえることが多いのですが。

いま織っているのは全くの無地です。
それでも、経糸に使っている座繰り糸の微かな太細と緯糸の真綿紬糸の節が交差するところは微妙に十字が表れます。

やはり無地を織っているときは、柄を織るときとはリズムが違います。

無心に近づくと言うのか….。
格子柄や横段柄を織るときには緯糸の杼をかえるタイミングを常に考えているし、経て縞柄でもずっと縞のようすが気になっているし。

もちろんどちらかと言えば、とても気持ちが良くて空を飛んでいるような気がします。


本当は無地こそ織りむらなどがないように神経をはっていなければいけないのでしょう。


この無地紬は 男物の羽織になります。

やっと織り上がりました。織り止めのあと経糸をはさみで切りました。
無事に織り終えることができ、毎回ながら何かに感謝する心持ちになります。

太くなった千巻からざっと目を通しながら長い長い反物を外していきます。
ほっと嬉しく、愛しいひと時です。