2015/11/18

畝織り(うねおり)帯のこと





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このところ、時間に追われているときにはやってみたくても出来ない織り方を試しています。

これらは、八寸帯です。
全くの平織りなのにこんなふうに多色の市松格子の柄が織れるのです。

数年前、とてもきちんとした技術をお持ちの染織作家のかたの講習会で、この「畝織り」と言うのを知りました。
もちろん講習会と言っても実技を習えるわけではなく、作品を例に原理をレクチャーしてくださるだけですから、実際に自分でいちから「機こしらえ」をして織ってみないと分からないものなんです。
ずっとやってみたくてウズウズしていたのですが、お待ちいただいているご注文の事を考えると、新しいことはなかなかできなくて..。
やっと挑戦できました。

これはうんと大きな市松格子ですが、「三崩し」や「ヤシラミー」などの柄と同じ原理です。
そして八寸帯なので、ある程度の厚みと強さが必要ですから、糸の太さの組み合わせも重要です。
何となく金糸も混ぜたので、ちょっと私らしくない帯なになったかもしれませんが、
とても軽くてこの独特の畝が帯としてずれにくく、質感がしっかりとしていてとても良いんじゃないかしら...と思います。
柄を小さくしたり、配色の強弱を近づけたりで、うんと展開出来そうです。
もっとシンプルな色づかいで、市松だけではない格子柄も織ってみたと思っています。

ただ、機から降ろすとすごく丈が縮んでしまいました。やはり畝ができるぶん、経糸がくわれるのでしょう。
超スリムな人向け?...いやいや、私がんばって締めます。
やはり、初めての技法には問題点がいっぱい。
だから面白い。試作は大事です。
でも大好きな市松格子が織れ、格子のバリエーションが増えてすごく嬉しいです。