2010/12/28

大変ご無沙汰しました! 羽織のこと 3

秋からずっと更新をお休みしていました。すみません。ずうっと制作に没頭してしまっているうちに年末になりました。この間に作ったもののことなどを少し振り返ってみたいとおもいます。
秋らしく肌寒い気候になった頃に、なんとか間に合った羽織です。
以前に桜の色のきものを作らせていただいた方の羽織です。これまでは私のもふくめて茶色系が多かったのですが、今回は優しく淡い色にしました。
やはりこれも桜で染めました。媒染が違うベージュグレーとグレーの万筋縞です。まったくの無地よりも深みがあり紬らしさを感じられます。
アウターとしての要素もあるので、万一の汚れも目立ちにくいでしょう。いろんな着物と会わせることを考えるとあまり主張の強くない柄が素敵だと思います。今回の最大の山は羽裏でした!
前回、イタリアンプリントの洋服地を使い個性的に素敵になりました。
今回はいつも通り私の縫い絞りをご所望いただいたので、どんな柄を?とお聞きしたところ、「羊でお願いします。未年の牡羊座なんで!」と即答されました。「はい、やってみます。」とお受けしたものの、すぐには下絵ができませんでした。
これまでは室町時代の辻が花染めの図案などを参考にすることが多かったのですが、日本の伝統的な柄にあまり羊は見かけないですよね。思いつくのは正倉院の樹下羊ですがちょっと違う感じ。
いろんな羊を描いてみるうちに何となく羊と雲が合わさってきてモコモコの牡羊と雌羊が空に駆け上がっていくみたいな羊を描きました。モコモコの方が縫い絞り染めをするのに適しています。大地と空の色は前述の桃で染めた優しい鳥の子色です。苦労したけれどとっても楽しかったです。羽織紐はやはりいつものシンプルなもの。可愛いめの色を選びました。