2010/10/02

桃の樹のこと 1

とんでもなく暑い夏の間中お休みしていました。やっと、きものまわりのことを考えるのが楽しい季節になりました。
今日のお話は植物と色と織物のご縁のこと。
友人がご両親のお家を受け継がれることになりました。東京の山の手、今は人の多い場所柄にもかかわらずお庭もあります。住み継ぐためのリフォームで、車庫を造るのに何本かの樹を伐ることになりました。その中にリビングの出窓を覆うほどの一本の桃の樹がありました。何とその樹は、昨年ご高齢で亡くなられたお母様が食された桃の種を植えたところ、芽を出し、ぐんぐんと育ち、ここ数年前から毎春花を咲かせるようになったそうです。強い生命力を感じさせるこの樹をとても大切に思っておられたようで、春の到来を待ち咲く花を寿ぐいく首かの歌を詠み残されていました。
その友人から「なんとかこの樹を活かす良い方法はないかしら。。。」と問われた私は、「この樹で糸を染めて織りましょう、何か形のあるものを!」と答えていました。家族ぐるみ大変お世話になったお家です。私にできることで命を生かして、美しく残したい!と思いました。
工事に入る直前に、ご夫婦で枝を伐ってくださいました。
さっそく段ボールに詰められて届いた桃の枝で糸を染めます。秋とは言えまだ夏の終わりのようなこの時期にどんな色が現れるのでしょうか?
秋晴れの日、枝を煮出します。  (次回へつづく。。。)