2010/03/03

「さくらもの」のこと

いよいよ春がやってきます。私はこの2月中、桜で染めた糸で着尺を織っていました。一年の内のほんの僅かな時期だけ桜の樹から美しいピンクを染めることができることをご存知の方も多いと思います。ここ数年すっかり夢中になっていて、庭やまわりの山の桜の枝で、できるだけ染めためています。濃い色ではなく淡いベージュがかった肌色のようなピンクです。本当の桜の花の色はもう少し冷たいピンクなのですが、どうしても気持ちの方が「桜色」と感じてしまいます。もう何とも言えないような優しい美しい色です。私たち日本人の肌に似合うピンクなのでしょう。「ピンクなんてに合わない」と思っている人でも身につけたくなる素敵な色です。これまでいろいろ織ってきました。いま手元にあるものだけですが、桜で染めた糸を中心にして織った作品を集めてみました。今年もあと少しで日本中がこんな色に包まれるのですね。