2010/01/15

再び帯揚げのこと

新年を迎えると不思議なことに少し明るい色に惹かれるようになりませんか。寒さは厳しいのに気分は春を待つ心を映すように、深く濃い色から淡く優しい色を取り入れたいと思います。けれど、きものや帯の色柄をすべて変えるのはなかなか困難です。とくにシンプルな紬好きなら小物の色を工夫をするだけでうんと気分が変わります。私など少ないきものと帯をいろいろに組み合わせて楽しんでいるので、帯揚げだけはわりにたくさん微妙に違うベーシックな色を揃えています。私は染織作家と言っても織物のために糸染めをするので、生地染めだけをすることはあまりないのですが、このちりめんの帯揚は例外で、白生地のちりめんを後染めしています。もちろん草木染です。市販されているものは当然化学染料で染められているためか、どうしても色がきつすぎて草木染めのきものや帯にしっくりこなくて気がかりでした。そこで自分や友人用に曖昧な色を草木染して使っていたら好評で、伊と忠GINAZAで販売していただいています。と言っても、すごく色数が揃っているわけではなく、ベージュやグレーの微妙なバリエーションが中心の十枚ほどです。この辺りの淡い色がどんな色とも上品に合って、しかもなかなか売ってないんですよね。少しずつ染めて足しているので、つねに色揃えは変化しています。一枚ずつ染めるのでまったく同じ色を追加することは余りありません。これは色が微妙なので、オンラインショップでの取扱いはなく、ショップでの販売のみです。お近くにお出掛けの時に覗いてみて下さいね。